ビッグデータ利活用促進に向けた新たな官民連携
New public-private partnership to boost the exploitation of big data
デンマークイノベーション基金は、デンマーク・ビッグデータ分析駆動型イノベーションセンター(DABAI)を発足させる。この取組みの狙いはビッグデータの潜在価値の開拓において、デンマークを先駆者とすることにある。
ITは社会におけるイノベーションの触媒である。近年我々は、工業プロセス、インターネットシステム、スマホアプリ、都市やビルのセンサーなど無数の情報源からもたらされるデータ量の爆発的な増加を目にしている。これらのデータには、社会の革新と成長にとっての潜在的価値が未利用のまま膨大に眠っている。
しかしながら収集されているデータのうち、分析され、「情報」に変換されているのは、3パーセント未満とされる。それゆえDABAIのミッションは、ビッグデータを分析し、分析的な洞察に基づくイノベーションを創出するための、効率的で有用な手法、技術、ツールを開発することにある。
このパートナーシップには、コペンハーゲン大学コンピューター科学部門、デンマーク工科大学およびオーフス大学とともに、システマティック社、ヴィスマ社およびビジネスマインド社が加わっている。
また、デンマークデジタル化庁、デンマークビジネス機構および中央デンマーク行政区などの公共機関も含まれている。プロジェクト調整役はアレクサンドラ研究所が担う。さらに、その他の民間企業や公共組織も、事例研究活動に関して、幅広くDBAAIに加わる予定である。
このコラボレーションの目的は、分析アルゴリズム、機械学習およびインタラクティブな可視化分析などの領域において、公共データ、食品産業データおよびデジタル学習データという3つのビジネス分野の諸事例で、今後横断的に利用される包括的な技術と手法を開発することにある。
この取組みは、公共部門および民間企業から収集したデータを基盤としており、DABAIは初年度からこれらパートナーの一部に利益をもたらすことができると予測している。
この手法は、例えば以下のような事例に用いられる。
・気候変動のマイナスの影響の予測と低減
・ヘルスケアにおける効果的な拡大生産者責任の確保
・典型的な学習パーンの分析に基づく、学童への個別学習の支援
・食品のより良いトレーサビリティと品質の提供
・製造部門における管理コストの削減と成長の創出
ビッグデータの収集、分析、利活用は、社会に大きな便益をもたらす可能性を秘めている。企業は生産からデータを抽出し、製造工程を強化することができるし、政策立案者は、気候変動や洪水を緩和するための長期計画を立てることができる。また、教師は、学習パターンのデータを学校からドロップアウトした児童の個別支援に使うことができるのである。