公共分野のデジタル化に関する興味深い情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。
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1.公共分野デジタル化動向
【政府】
■改正マイナンバー法が成立
改正マイナンバー法が6/2(金)の参議院本会議で可決、成立しました。改正の内容としては、2024年秋に健康保険証を廃止しマイナ保険証に移行することなどです。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DD81EE.htm
■内閣官房、医療DXの推進に関する工程表を公表
内閣官房は、医療DX推進本部において医療DXの推進に関する工程表を6/2(金)に公表しました。本表においては、マイナンバーカードの健康保険証の一体化の加速等として2024年秋にに健康保険証を廃止すること、遅くとも2030年には、概ねすべての医療機関において、必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すことなどが示されています。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/index.html
■内閣府、G7仙台科学技術大臣会合開催
内閣府は、G7仙台科学技術大臣会合を5/12(金)~14(日)に開催しました。本会合では、「信頼に基づく、オープンで発展性のある研究エコシステムの実現」をメインテーマとし、今後の科学技術政策の方向性として「科学研究の自由と包摂性の尊重とオープン・サイエンスの推進」等3つについて議論の上、共同声明を発出しました。
https://www8.cao.go.jp/cstp/kokusaiteki/g7_2023/2023.html
■内閣府、AI戦略チーム(関係省庁連携)(第4回)開催
内閣府は、AI戦略チーム(関係省庁連携)(第4回)を5/22(月)に開催しました。本会では、G7プロセスの結果、AI戦略会議における論点整理の取りまとめに向けて、研究から産業までのシナリオについて、生成AI各社のデータの取扱いについて討議されました。
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_team/4kai/4kai.html
■デジタル庁、「『モビリティ・ロードマップ』のありかたに関する研究会」(第1回)開催
デジタル庁は、「『モビリティ・ロードマップ』のありかたに関する研究会」(第1回)を5/31(水)に開催しました。本会では、ドローンやサービスロボットなどモビリティ・サービスを支える技術全般に広げた「モビリティ・ロードマップ(仮称)」へ発展させ、ロードマップを策定するため、供給側だけでなく需要側の事情まで加味した上で、必要となる技術開発や制度改革事項など今後整理が必要と思われる論点について、有識者から意見を受けるということです。
https://www.digital.go.jp/councils/mobility-roadmap/
■総務省・経済産業省、「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合の中間とりまとめ2.0」公表
総務省・経済産業省は、「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合の中間とりまとめ2.0」を5/30(火)に公表しました。本書は、デジタルインフラを取り巻く状況や環境変化を踏まえ、今後のデジタルインフラ整備の考え方・方向性等を再整理したものです。この中では、デジタルインフラ整備の方向性として、東京圏・大阪圏を補完・代替する第三、第四の中核拠点の整備、また地域における分散型のデータセンターなどの計算資源の整備を掲げています。
https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230530004/20230530004.html
■農林水産省ほか、「デジ活」中山間地域の登録(第1回)を実施
農林水産省、内閣官房、内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省は、基幹産業である農林水産業の「仕事づくり」を軸として、地域資源やデジタル技術を活用し、多様な内外の人材を巻き込みながら社会課題解決に向けて取組を積み重ねることで活性化を図る「デジ活」中山間地域について、22地域について第1回の登録を実施しました。登録された地域においては、農林水産業に関する取組を中心に、高齢者見守り、買い物支援、地域交通等の様々な分野の取組が計画されており、関係府省が連携して支援を進めるということです。
https://www.maff.go.jp/j/press/nousin/nousei/230602.html
■国土交通省、「ハザードマップポータルサイト」をリニューアル
国土交通省は、全国の災害リスク情報や防災に役立つ情報をまとめて閲覧することができる「ハザードマップポータルサイト」を5/30(火)にリニューアルしました。これにより、「重ねるハザードマップ」で住所入力や現在地検索するだけで、その地点の災害リスクや災害時にとるべき行動が文字で表示される機能が追加されました。本変更は、「ハザードマップのユニバーサルデザインに関する検討会」の議論を踏まえたものとしています。
https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo04_hh_000209.html
■国土交通省、実際の旅客機を用いた次世代航空交通システムに関する試験飛行を実施
国土交通省は、米国、シンガポール、タイの航空当局と共同して、実際の旅客機を用いた次世代航空交通システムに関する試験飛行6/12(月)、13(火)に実施します。本実証では、シアトルを出発して、東京、シンガポール、バンコクへの航行中に飛行試験を実施します。実際の旅客機を用いた試験飛行は世界初ということです。
https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku13_hh_000135.html
■国土交通省、自動運転実証調査事業と連携した路車協調システム実証実験の募集
国土交通省は、道路のカメラ等によって検知した道路状況を自動運転車等へ情報提供する路車協調システムに関する実証実験について、7/25(火)正午まで募集しています。国土交通省による支援内容としては、交差点等の手動介入の発生が想定される箇所に設置した路車協調システムから自動運転車等へ道路状況に関する情報提供の実施ということです。
https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_001670.html
■経済産業省、「産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会 中間とりまとめ」公表
経済産業省は、「産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会 中間とりまとめ」を6/2(金)に公表しました。本書は、「イノベーションの担い手は誰か」など3つの論点について、課題とその検討内容を整理したものです。
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/kenkyu_innovation/20230602_report.html
【自治体】
■東京都、「アジャイル型開発プレイブック」を公開
東京都は、「アジャイル型開発プレイブック」を5/17(水)に公開しました。本書は、東京都が2022年度から取り組んでいるアジャイル型開発の実践の様子や気付きなどを記録したものです。また、より詳細な開発計画や体制、スケジュールなどをまとめた開発事例集も合わせて公開しています。
https://shintosei.metro.tokyo.lg.jp/post_cp2_230517/
■東京都、「都庁DXアワード2023」開催
東京都は、デジタルを活用した庁内の優れた取組を表彰するイベント「都庁DXアワード2023」を5/17(水)に開催しました。サービス部門の知事賞は、福祉保健局において福祉施設の指導検査を効率化した取組、業務改革部門の知事賞は、下水道局において設備点検のノウハウに関するマニュアルをデジタル化した取組でした。
https://note.com/kouzoukaikaku/n/n0f28e2c38ea3
■東京都、「オープンデータコミュニティ」への参加募集開始
東京都は、オープンデータ利用者同士のコミュニケーションや利用者と都との間の繋がりを活性化させる「東京都オープンデータコミュニティ」への参加募集を5/22(月)に開始しました。併せて、キックオフイベントを6/21(水)に開催するということです。
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/05/22/15.html
■町⽥市、株式会社NTTデータとジェネレーティブAIの利活用に係る連携協定を締結
東京都町⽥市は、株式会社NTTデータとジェネレーティブAIの利活用に係る連携協定を5/29(月)に締結しました。本協定に基づき、双方がこれまで培ったノウハウを活用し、市民向けオンラインサービスの向上、市役所の業務改革・改善、AIを安全安心に利活用するためのガイドラインの策定などについて、連携して取り組み、スマートシティの実現を目指すとしています。具体的な想定利用シーンについては、Youtube公開中のコンセプトムービー「トレンド技術でサービスデザインを変える」にて、アバターが紹介しています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000329.000052170.html
■横浜市、「YOKOHAMA Hack!」「防災」をテーマとした2つの実証実験を完了
神奈川県横浜市は、「YOKOHAMA Hack!」「防災」をテーマとした2つの実証実験を完了したことを4/27(木)に公表しました。1つ目の実証では、風水害から市民の命を守る「避難確保計画」システムを開発し、「防災意識の向上」と「作業時間41%減」を達成しました。2つ目の実証では、災害現場と関連所管部署をつなぐリアルタイム情報共有システムの実用性を検証し、災害現場の状況をより効果的に把握するための知見を得ることができました。
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/digital/2023/0427-1hack.html
■大槌町、公式アプリ「大槌町震災伝承ARアプリ」を公開
岩手県大槌町は、公式アプリ「大槌町震災伝承ARアプリ」を5/19(金)に公開しました。本アプリは、東日本大震災津波による被害と教訓を伝承するため、震災津波で被災した大槌町役場旧庁舎及び観光船はまゆりと旧民宿あかぶを、AR技術で再現したしたものです。
https://www.town.otsuchi.iwate.jp/gyosei/docs/445949.html
■永平寺町、国内初となるレベル4での自動運転移動サービスが開始
福井県永平寺町において、国内初となるレベル4での自動運転移動サービスが5/21(日)に開始されました。車両は7人乗りの電気自動車(EV)で、廃線跡の遊歩道(6キロ)のうち2キロを最大時速12キロで走るということです。土日祝日に営業運航しており、運賃は大人100円、中学生以下50円です。
https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230522004/20230522004.html
■大淀町・上北山村・五條市・平群町・御杖村・吉野町、日本初となるふるさと納税6自治体同時の地域NFT返礼品を受付開始
奈良県の6自治体(大淀町・上北山村・五條市・平群町・御杖村・吉野町)は、日本初となるふるさと納税6自治体同時の地域NFT返礼品を6/1(木)に受付開始しました。この返礼品は、各自治体をPRするオリジナルデザインのNFTとなっています。デザインは、Youtuberのないとーさんのオリジナルキャラクターである、NCP(Naito Cat’s Pajamas)が全国を旅するイメージで描かれており、各市町村の風景・特産品をPRするものとなっているということです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000123014.html
■伊賀市、FIXERとChatGPTを活用したAI行政サービス実証事業に関する連携協定を締結
三重県伊賀市は、FIXERとChatGPTを活用したAI行政サービス実証事業に関する連携協定を5/9(火)に締結しました。これにより、ChatGPTに連動する伊賀市専用のクラウドAI環境(Gaixerの活用)を整備し、直接ChatGPTを介して情報を取得するのではなく、伊賀市専用のクラウド環境を介することで、伊賀市独自の回答が安全に行えるようになることを目指すということです。
https://www.city.iga.lg.jp/0000011161.html
■三豊市、ChatGPTを使用した「ゴミ出し案内」の実証実験を開始
香川県三豊市は、ChatGPTを使用した「ゴミ出し案内実証実験」を6/1(木)から開始しました。本実証では、スマートフォンやパソコンなどで、ごみの分別や回収日を問いかけると、AIが自動で市ホームページから情報を探し、答えてくれます。また50カ国以上の言語に対応しており、外国人市民も気軽に質問ができるということです。
https://www.city.mitoyo.lg.jp/hotnews_old/reiwa5/hot2305/11551.html
【海外】
■G7、「広島AIプロセス」作業部会の立ち上げを発表
G7では、「広島AIプロセス」作業部会(第1回)の立ち上げを5/26(金)に発表しました。これはG7デジタル・技術大臣会合において、生成AIに関しG7として議論を行うための場を設けることについて合意したことを踏まえたものです。松本総務大臣によると、OECD、GPAIの協力も得つつ、また、政府内のAI戦略会議での議論も踏まえ、ガバナンスの在り方、知的財産権保護、透明性促進、偽情報への対策、生成AI技術の責任ある活用などの諸課題に関するG7間の議論を日本が主導するということです。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/01koho01_02001241.html
■EDPB、法執行分野における顔認識技術に関するガイドラインの最終版を公開
EDPB(欧州データ保護委員会)は、法執行分野における顔認識技術に関するガイドラインの最終版を5/17(水)に公開しました。これは、EUおよび加盟国の政策立案者、法執行機関に対し、顔認識技術システムの導入および使用に関する指針を提供するものです。
https://edpb.europa.eu/news/news/2023/edpb-adopts-final-version-guidelines-facial-recognition-technology-area-law_en
■英国DSIT、国家半導体戦略公表
英国DSIT(科学技術イノベーション庁)は、国家半導体戦略を5/19(金)に公表しました。本戦略は、半導体に関する設計や研究開発における英国の強みを生かし、今後20年間で英国が未来の半導体技術において世界をリードする地位を築くというビジョンを掲げたものです。またそのための目標として「国内部門の成長」「サプライチェーンの寸断リスク軽減」「国家安全保障の保護」の3つを掲げています。
https://www.gov.uk/government/publications/national-semiconductor-strategy
■英国DSIT、セキュア・コネクテッド・プレイス・プレイブック公表
英国DSIT(科学技術イノベーション庁)は、セキュア・コネクテッド・プレイス・プレイブックを5/16(火)に公表しました。これは、自治体がスマートシティの取組を進める際にサイバー脅威からデータやインフラなどを守る方法について実践的なアドバイスを提供するもので、国家サイバー戦略の一環としてつくられました。
https://www.gov.uk/government/news/secure-connected-places-cyber-security-playbook-launched
■米NIST、サイバーセキュリティとプライバシー年次報告書2022を公表
米NISTは、サイバーセキュリティとプライバシー年次報告書2022を5/31(水)に公表しました。本書の中では、2022年度の活動の内容として、国際標準への継続的な参加と開発、ポスト量子暗号など主要優先分野での研究と実用化などを挙げています。またNISTはサイバーセキュリティに関する取組を開始してから50周年を迎えたことも述べています。
https://www.nist.gov/news-events/news/2023/05/nist-2022-cybersecurity-privacy-annual-report
■米OSTP、「国家AI研究開発戦略」改訂
米国OSTP(政府科学技術政策室)は、「国家AI研究開発戦略」を5/23(火)に改訂しました。本書は政府による研究開発投資のロードマップを示したもので、2019年以降初の改訂となります。変更点としては、環境などの世界的課題に対処するため、AIの研究開発において国際協力を重視する点を追加したことです。
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2023/05/National-Artificial-Intelligence-Research-and-Development-Strategic-Plan-2023-Update.pdf
■米OSTP、AI活用に関する国家的優先順位についてパブコメ募集
米国OSTP(政府科学技術政策室)は、AIリスクの軽減、個人の権利と安全の保護、生活向上のためのAI活用に関して政府が優先的に検討すべき事項について意見を求めるRFIを5/23(火)に発行しました。
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2023/05/OSTP-Request-for-Information-National-Priorities-for-Artificial-Intelligence.pdf
■米教育技術局、報告書「AIと教育・学習の未来」公表
米教育技術局は、報告書「AIと教育・学習の未来」を5/23(火)に公表しました。本書は教育、学習、研究、評価におけるAIに関連するリスクと機会をまとめたものです。
https://www2.ed.gov/documents/ai-report/ai-report.pdf
■中国国家サイバースペース局、「個人情報の越境移転に関する標準契約条項(第一版)」公表
中国国家サイバースペース局は、「個人情報の越境移転に関する標準契約条項(第一版)」を5/30(火)に公表しました。これによると、中国国外の受取人と個人情報移転標準契約を締結して中国国外に個人情報を提供する個人情報処理者は、「個人情報移転標準契約」の規定に基づき、提出ガイドラインに従って、所在地の省通信情報部門に記録を提出する必要があるということです。
http://www.cac.gov.cn/2023-05/30/c_1687090906222927.htm
■中国深圳市、「深セン市における人工知能(AI)の質の高い発展・ハイレベルの応用の推進加速に関する行動案(2023−24年)」発表
中国深圳市は、「深セン市における人工知能(AI)の質の高い発展・ハイレベルの応用の推進加速に関する行動案(2023−24年)」、同時に第1弾・26の「都市+AI」応用シーンを5/31(水)に発表しました。同行動案では中国内外の半導体・アルゴリズムに基づくオープンソース汎用大規模モデルの構築を重点的に支援するとしています。
http://j.people.com.cn/n3/2023/0602/c95952-20026935.html
(編集) 行政情報システム研究所 研究員 小池千尋