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2021.07.28

公共分野デジタル化動向(2021.7.28)

1.行政サービスにおけるデジタル格差に関する調査研究結果を公開
2.公共分野デジタル化動向
[政 府]2020年度(令和2年度)国家公務員テレワーク取組状況等調査の結果 ほか
[自治体] 新潟県、デジタル改革実行本部を設置  ほか
[海 外] OECD、「政府概要2021」(Government at a Glance 2021)を公表 ほか

公共分野のデジタル化に関する興味深い「非公式」情報や、政府・行政機関からのお知らせなど、今ホットな話題を紹介します。

 

1.⾏政サービスにおけるデジタル格差に関する調査研究結果を公開

一般社団法人行政情報システム研究所では2020年度の調査研究事業として、「⾏政サービスにおけるデジタル格差に関する調査研究」を実施し、成果物を公開しました。
本調査研究は、我が国がこれからデジタル化を進めるうえで直面していく行政サービスにおけるデジタル格差の課題を把握・整理し、それぞれの課題に対して講じるべき対策の方向性を導出することを目的として実施したものです。
詳細は、以下のリンク先より無償でご覧になれます。

https://www.iais.or.jp/reports/labreport/20210615/divide2020/

 

2.公共分野デジタル化動向

【政府】

■2020年度(令和2年度)国家公務員テレワーク取組状況等調査の結果
内閣官房IT総合戦略室及び内閣人事局は、2020年度(令和2年度)における国家公務員のテレワーク取組状況等について公表しました。本省では、テレワーク実施可能職員数が52,211人(令和元年度)から58,301人に増加(+12%)するとともに、その一人当たりテレワーク実施回数は2.7日/年(令和元年度)から49.6日/年に増加(18倍)しました。また、テレワークの実施回数が多い府省(本省)は、経済産業省、国土交通省、農林水産省、総務省、外務省であり、昨年度からの増加率が大きい府省は、警察庁、外務省、文部科学省、内閣府、復興庁でした。
https://cio.go.jp/node/2789

 

■「2021年デジタルの日」ロゴが決定
2021年10月10 日、11日に開催される「2021年デジタルの日」におけるロゴが決定しました。デジタルの日は、デジタルについて定期的に「振り返り」「体験し」「見直し」をするための機会であり、この3つの行動を3本のラインで表現したとのことです。
https://digital-days.digital.go.jp/assets/pdf/20210716_newsrelease.pdf

 

■「政府機関におけるデジタル改革に必要なIT・セキュリティ知識を有する人材の確保・育成総合強化方針」決定
サイバーセキュリティ対策推進会議(CISO等連絡会議)および各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議は、「政府機関におけるデジタル改革に必要なIT・セキュリティ知識を有する人材の確保・育成総合強化方針」を決定しました。本方針は、政府機関におけるデジタル改革に必要な人材を確保・育成するための基本的な方針を示しています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/index.html

 

■「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」決定
サイバーセキュリティ対策推進会議(CISO等連絡会議)および各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議は、「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」を決定しました。本申合せでは、サイバーセキュリティ上の深刻な悪影響を軽減するため、政府機関等において特に防護すべき情報システム・機器・役務等に関する調達の基本的な方針、手続、講ずべき必要な措置について明確化を図っています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/index.html

 

■「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)の暫定措置の見直し」決定
サイバーセキュリティ対策推進会議(CISO等連絡会議)および各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議は、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)の暫定措置の見直し」を決定しました。本見直しでは、ISMAP に対するクラウドサービスの登録申請状況や各政府機関等のニーズ等を踏まえ、制度の利用推進の観点から暫定措置の見直しについて考え方を示しています。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/index.html

 

■NISC、「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」改定
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、サイバーセキュリティ戦略本部第30回会合を開催し、「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群」の改定を決定しました。クラウドサービスの利用拡大や情報セキュリティ対策の動向を踏まえた記載及び多様な働き方を前提とした情報セキュリティ対策等を盛り込んでいます。
https://www.nisc.go.jp/conference/cs/index.html#cs30

 

■NISC、「サイバーセキュリティ関係施策に関する令和4年度予算重点化方針」決定
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、サイバーセキュリティ戦略本部第30回会合を開催しサイバーセキュリティ関係施策に関する令和4年度予算重点化方針を決定しました。次期サイバーセキュリティ戦略の方向性に基づき、「経済社会の活力の向上及び持続的発展」「国民が安全で安心して暮らせる社会の実現」「国際社会の平和・安定及び我が国の安全保障への寄与」「横断的施策」の4分野を重点分野として特定しています。
https://www.nisc.go.jp/conference/cs/index.html#cs30

 

■NISC、「次期サイバーセキュリティ戦略(案)」等に関する意見の募集
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、サイバーセキュリティ戦略本部で作成した「次期サイバーセキュリティ戦略(案)」、およびサイバーセキュリティ2021(2020年度年次報告・2021年度年次計画)(案)」について、意見募集を開始しました。期日は8/10までです。
https://www.nisc.go.jp/active/kihon/cyber-security-senryaku_2021.html

 

■警察庁、特定自動配送ロボットの公道実証実験の規制を緩和
警察庁は、「特定自動配送ロボット等の公道実証実験に係る道路使用許可基準 」を策定しました。「遠隔型」「低速・小型」「歩行者が通行すべき場所を走行」などのロボットで、これまでの実証実験を実施する場所と同一または類似の環境で240時間以上の走行実績を持つロボットを「特定自動配送ロボット」とし、より簡便に道路使用許可を受けられるように全国の警察に通達しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5ff555b7d3c2b8ca4d6125b30bf901e45ce0d455

 

■総務省、「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会報告書の公表
総務省は、「「ポストコロナ」時代におけるデジタル活用に関する懇談会」報告書を公表しました。今後のデジタル政策の基本的な方向性として「(1)若年層から高齢者まで全ての国民利用者によるデジタル活用(受容面)」「(2)企業・行政等におけるデジタル技術の導入(需要面)」「(3)デジタル活用を支える情報通信基盤の充実と国際競争力の強化(供給面)」を挙げています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin01_02000320.html

 

■総務省、「スマートシティセキュリティガイドライン(第2.0版)」の公表
総務省は、「スマートシティセキュリティガイドライン(第2.0版)」を公表しました。令和2年10月に公表した「スマートシティセキュリティガイドライン(第1.0版)」を改定し、スマートシティの運用の実態に沿った、スマートシティを構築・運営する主体が利用しやすいガイドラインを目指しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01cyber01_02000001_00115.html

 

■総務省、「eシールに係る指針」を公表
総務省は、「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会取りまとめ」及びこれを踏まえた「eシールに係る指針」を公表しました。本指針は、我が国における e シールの在るべき姿を示すとともに、eシールの信頼性を担保するために証明機関に求めるべき基準を検討するにあたっての参考とすることを目的としています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01cyber01_02000001_00114.html

 

■総務省、「自治体DX推進手順書」を公表
総務省は、「地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に係る検討会」での議論を踏まえ、「自治体DX推進手順書」を作成・公表しました。自治体が、昨年12月に策定・公表された「自治体DX推進計画」を踏まえて着実にDXに取り組めるように作成されたもので、「自治体DX全体手順書【第1.0版】」「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書【第1.0版】」「自治体の行政手続のオンライン化に係る手順書【第1.0版】」「参考事例集【第1.0版】」から構成されます。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei07_02000116.html

 

■国土交通省、人流データを活用したモデル事業の実施対象を決定
国土交通省は、人の流れのデータ(人流データ)の利活用促進を図るため、地方公共団体と民間事業者等が協働して人流データを取得・活用した地域課題解決を目指すモデル事業について、採択する対象事業を決定しました。人流データは、人がいつどこに何人いるのかを示すデータであり、防災やまちづくり、観光などの様々な分野での利活用が期待されています。採択された6件のモデル事業は、来年3月に予定している成果報告会にて成果の報告・公表を行う予定です。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo17_hh_000001_00012.html

 

■国土地理院、デジタルマップを利用した盛土可能性箇所の抽出を実施
国土地理院は、整備済みのデジタルマップを利用した全国における概略的な盛土可能性箇所の抽出を行います。作成時期の異なる基盤地図情報数値標高モデルのデータを比較することにより、一定以上標高に変化のある箇所を盛土の可能性のある箇所として抽出します。抽出した箇所については、関係省庁や地方公共団体に提供する予定です。
https://www.mlit.go.jp/report/press/sabo01_hh_000112.html

 

 

【自治体】

■新潟県、デジタル改革実行本部を設置
新潟県は、デジタル技術及びデジタルデータを最大限活用して、本県の行政、産業及び暮らしを変革し、人口減少等に起因する少子高齢化や活力、競争力の低下等の諸課題の解決に向けた取組を、全庁的に重点的かつ集中的に実行するため、「新潟県デジタル改革実行本部を設置しました。デジタル改革実行本部の本部長は県知事が務め、全部局長がメンバー。また本部とは別に「タスクフォース」チームを設置。CDOやCDO補佐室を配置し、庁内調整や技術支援などを行います。
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/ict/digitalkaigi.html

 

■長野県、職員採用試験に「デジタル」区分を創設
長野県は、DXを強力に推進するため、長野県職員採用試験(大卒程度)及び社会人経験者採用選考に「デジタル」区分を創設し、ICT関連の企画立案、調査分析、支援業務等に携わる人材の募集を開始しました。採用予定人数は若干名。
https://www.pref.nagano.lg.jp/jinji/happyou/20210716press.html

 

■愛媛県、「愛媛県DX推進リーダー育成研修」を開始
愛媛県は、愛媛県内の行政関係者及び民間人材に対して「愛媛県DX推進リーダー育成研修」を開始しました。本研修は、「愛媛県デジタル総合戦略」に基づき、愛媛県とDXをけん引する有識者と連携して行うもので、デジタル技術を効果的に活用し、地域の課題解決や価値創造に資する企画立案、実行ができる「官民デジタル人材」の育成と輩出を目的としています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000044479.html

 

■厚真町、AI配車計算システム「SAVS」の試験運行を開始
北海道厚真町は、町内の公共交通の空白地域における生活交通手段として、予約に応じて運行するデマンド交通「めぐるくん」を運行しています。6/1より、運行の効率化を目指すため、AIによる配車計算システム「SAVS」を導入した試験運行を開始しました。
http://www.town.atsuma.lg.jp/office/reception/environment/demando_savs/

 

■仙台市、デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画を策定
宮城県仙台市は、デジタル社会の構築に向けた取組みを迅速に、かつ着実に進めていくため、「仙台市デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を策定し、公表しました。目指すまちの姿として「:D-Sendai デジタルでみんなワクワクスマートシティ」を掲げ、実現に向けて重点的にデジタル化を行っていくにあたって、「まちのデジタル化」と「行政のデジタル化」を意識した取り組みを進めます。
http://www.city.sendai.jp/system/shise/security/johoka/digital-plan-pr.html

 

■奥州市、デジタル推進本部を設置
岩手県奥州市は、デジタル社会の実現に向けたデジタル・トランスフォーメーションの推進に係る各施策を総合的かつ全庁横断的に行うため、奥州市デジタル推進本部を設置しました。DX推進に係る基本的な方針策定や施策の導入及び検証に関する事務を所掌します。また、最高デジタル責任者(CDO)に新田副市長が就任しました。
https://www.city.oshu.iwate.jp/site/mayor/43009.html

 

■別府市、「BEPPU × デジタルファースト宣言」を公表
大分県別府市は、「BEPPU × デジタルファースト」を宣言しました。「市民サービスのデジタルファースト」「行政運営のデジタルファースト」「観光戦略のデジタルファースト」の3つの戦略を掲げています。
https://www.city.beppu.oita.jp/sisei/kakusyukeikaku/digital_first.html

 

■47都道府県の「情報化推進計画」一覧(2021年6月更新)
日経BPガバメントテクノロジーは、各都道府県の「情報化推進計画」および「官民データ活用推進計画」について、最新状況を一覧表にまとめ、公表しました。官民データ活用推進計画は、2021年4月時点で全47都道府県が策定を完了したとのことです。
https://project.nikkeibp.co.jp/jpgciof/atcl/19/00001/00009/

 

■警視庁、キャッシュレス決済を導入
警視庁は、これまで警察手数料等窓口での支払いは現金のみでしたが、7/1からキャッシュレス決済を導入し、クレジットカード(1回払い)、電子マネーによるお支払いが可能となりました。キャッシュレス決済を導入した窓口は、全警察署窓口、運転免許試験場窓口、運転免許更新センター窓口、指定警察署(運転免許)窓口です。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/keiyaku_horei_kohyo/oshirase/cash.html

 

 

【海外】

■OECD、「政府概要2021」(Government at a Glance 2021)を公表
OECDは、「政府概要2021」(Government at a Glance 2021)を公表しました。OECD加盟国37カ国(本書作成時点)およびいくつかの非加盟国における制度、予算編成慣行、人的資源管理、規制ガバナンス、公共調達、インフラストラクチャのガバナンス、公共部門の完全性、オープン政府、デジタル政府に関するデータを含んでいます。
https://www.oecd.org/gov/government-at-a-glance-22214399.htm?fbclid=IwAR3MfvXOBGJ7lKKB8x9VhJxZ9nac6afkBb6PtBaNOAJlLPjCQ_rN8hsHh-w

 

■欧州委員会、PM²-アジャイルガイドを公開
欧州委員会(EC)は、公に利用可能なPM²-アジャイルガイドをはじめて公開しました。このガイドには、プロジェクトチームと利害関係者の間のコミュニケーションを促進するための一般的な用語やPM²-アジャイルモデル、アジャイルプラクティスの基本、PM²-アジャイルをサポートするための使いやすい要件モデルなどが記載されています。
https://europa.eu/pm2/news/european-commission-publishes-first-ever-publicly-available-pm2-agile-guide_en?fbclid=IwAR1-4paU50IoJxVcYa_1gXL08vLgi5P24_FiQljYZNhuUW_yR4MaQnZXsuY

 

■EU域内での「デジタルCOVID証明書」本格運用を開始
欧州委員会(EC)は、新型コロナウイルスのワクチン接種などの証明書に関するEU共通の枠組みとなる「EUデジタルCOVID証明書」(COVID証明書)のEU全域での本格運用開始を発表しました。これにより、EU市民や居住者はCOVID証明書を活用することで、EU域内の移動時の検査や自主隔離などが免除され、円滑な移動が可能となります。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/07/db5756aaecb8c4a6.html

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■世界経済フォーラム、「Good Data: Sharing Data and Fostering Public Trust and Willingness」発行
世界経済フォーラムは、「Good Data: Sharing Data and Fostering Public Trust and Willingness」発行しました。この白書では「データ利用者は、同意を得るだけで責任あるデータ利用を果たしていることにはならない」、つまり同意というガバナンス方法の限界を前提とし、データ利用者が、同意取得に加えて、主体的に検討配慮すべき内容を示しています。
https://note.com/c4irj/n/n3ac93aa71db2?fbclid=IwAR1fkXiLqQIDtZ_Ra7Eq4q6hYzqgTna32pJ5gd5Nc0sN88hdf1Wc0xA1ypc

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(編集) 行政情報システム研究所 主任研究員 平野隆朗

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