近年、諸外国ではいわゆる「サービスデザイン思考」に基づき、行政サービスのあり方を利用者視点に立って根本的に見直そうとする動きが拡がりを見せており、我が国でも、昨年5月に決定された「デジタル・ガバメント推進方針」において、「サービスデザイン思考に基づく業務改革(BPR)の推進」が主要施策として掲げられたところです。その後、本年1月に決定された「デジタル・ガバメント実行計画」では、利用者中心の行政サービス改革を推進するための方針として「サービス設計12箇条」が策定されたほか、3月には行政機関向けに、サービスデザイン思考実践の参考書である「サービスデザイン実践ガイドブックβ」が発行されています。また、今後も「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン」ならびに関連文書にサービスデザイン思考の要素を組み入れることが計画されています。
このように、政府全体の方針としてサービスデザイン思考を導入する方向性が明確に示されたものの、実際の導入に当たっては、これまで行政機関では馴染みの薄かった概念であるため、例えば、職員一般の間での理解・共感の不足、牽引するリーダー人材の不在、既存の調達制度等との刷り合わせの問題など、様々なハードルに直面することが想定されます。
本調査研究では、こうした課題認識に立脚し、文献調査、各国政府へのアンケート調査、および民間企業へのヒアリング調査を実施した結果に基づき、プロジェクトの具体的な進め方や成果を、実際の行政での事例に即して解説しています。さらに今後の組織的な取組みに向けて、サービスデザインを実践する能力を有した人材の育成およびプロセスの標準化、ならびに活動の組織全体への浸透を実践する際に取り組むべき課題を提示しています。
#本調査研究は、Service Design Networkおよび株式会社 コンセントの協力を得て、実施したものです。
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