調査研究のねらい・概要
電子政府の推進においては、目標を掲げるだけでなく具体的な推進計画を策定し、進捗状況を随時確認しながら進めることが必要です。欧州連合では、欧州経済社会の基本目標である「欧州2020」とそのうちの1つである「欧州デジタルアジェンダ」を目標として設定し、これらの目標を実現するための計画として「欧州電子政府行動計画」を5年ごとに策定し、その進捗状況について調査を行っています。
本調査研究では、前提となる「欧州2020」および「デジタルアジェンダ」を紹介した上で、これらの目標と「欧州電子政府行動計画」との対応関係を整理しています。次に、「欧州電子政府行動計画」で定められている具体的な行動に関して、欧州委員会および加盟国の進捗状況を、欧州連合が行ったサーベイの結果に基づき整理しています。また、付録として、主要加盟国の電子政府のこれまでの取り組み、戦略、体制、インフラなどの状況について、欧州連合が全加盟国を対象に調査を行い、毎年度作成、公表している「電子政府ファクトシート」を基に整理しています。
目次
- イントロダクション
- 電子政府行動計画2011-2015に先立つ2つの合意
- 電子政府行動計画2011-2015の内容
- 電子政府行動計画の実施状況
- ベルギーに見る電子政府
- デジタル経済社会指標と電子政府化指標2015戦略
- おわりに
調査研究実施以降の関連する政府の取組
EUでは、本報告書で紹介した2015年までの取り組みの状況と評価結果、加盟国や関係者との議論を反映して、行政の現代化、デジタル単一域内市場、高品質のサービス提供のための市民や企業との連携を3原則として掲げた2016-2020年までの電子政府行動計画を策定しました。また、関連するアクションが進められることになっています。
- 欧州電子政府行動計画2016-2020の策定
欧州連合における域内のデジタル単一市場の実現に向けた障壁を取り除くことを目的として、デジタルバイデフォルト、ワンスオンリー、アクシビリティおよび透明性の向上、相互運用性の確保などを柱とする民欧州電子政府行動計画2016-2020が策定されました。
- EUの行政機関における相互運用性確保のためのプログラムの策定
EU加盟国の行政機関が、国境横断で相互運用性を確保するために実施すべき項目として、セマンティックの相互運用性、オープンデータとデータ共有、地理空間情報に関するソリューションの実施、電子調達や電子決済などに関する行動計画を定めた相互運用性確保のためのプログラムが2016年4月に初めて策定されました。