調査研究のねらい・概要
現在の行政情報システム関連のIT投資管理が情報システム経費や職員の稼動量(業務処理時間)の削減・合理化に重点が置かれ、行政サービスの価値向上、政策の質の向上などのIT投資効果に関する評価が定性的であるため、投資効果に対する認識が十分に認知されていません。このような認識に基づき、定性的な評価を定量化することで投資効果を認識しやすくすることを目的として行った調査です。
本調査研究では、最初に我が国の政府におけるIT投資管理の現状と歴史について整理したうえで、米国および英国政府、および民間企業におけるIT投資管理の手法について紹介しました。最後に、諸外国政府と民間企業の事例から我が国政府のIT投資管理への示唆をまとめています。
目次
- 我が国の政府におけるIT投資管理の現状
- IT投資管理手法の歴史と全体像
- 諸外国政府におけるIT投資管理
- 民間企業におけるIT投資管理の動向
- 我が国のIT投資管理に対する示唆
参考.ビジネスケースの策定手順
調査研究実施以降の関連する政府の取組
政府情報システムの投資効果の定量化に関しては、電子行政推進に関する基本方針や世界最先端IT国家創造宣言においてKPIの設定投資管理の強化の方針が打ち出されました。この方針に基づき、2014年度以降は政府情報システムに関する投資計画が策定しています。
- 電子行政推進に関する基本方針(2011年8月IT戦略本部決定)
基本方針の1つとして、IT投資管理の確立・強化が謳われ、投資対効果の最大化と、IT投資の全体最適化(情報システムの統合・集約化)が推進されました。
- 世界最先端IT国家創造宣言(2013年6月IT総合戦略本部決定)
同宣言では、政府の取組の進捗状況や成果を評価できるよう、可能な限り定量的な評価指標(KPI)を示すと同時に、KPIについては取組を推進する過程においてより適切な評価指標となるよう不断の見直しをすることが謳われています。
- 世界最先端IT国家創造宣言 工程表(2013年6月IT総合戦略本部決定)
2014年度予算から、政府情報システム改革に関するロードマップの着実な実施に向けた、政府情報システムに関する投資計画を策定することとし、同計画に①投資額の詳細と②投資による効果・KPIを明らかにすることとなりました。
この工程表に基づき、政府情報システム投資計画が毎年度作成されています。