調査研究のねらい・概要
政府情報システム刷新にあたってコスト削減だけを考えた見直しには課題が多いとの認識のもと、技術面も含む幅広い視点から最適なシステムを選定する際の検討方法や、ガバナンスの課題に関する調査を行い、受け皿となるべき技術や実効性のある移行シナリオを提示することを目的として行った調査です。
本調査研究では、最初に政府で進められているシステム刷新の動向と、刷新を行う際の問題点について整理したうえで、会員企業の協力のもと実施した調査結果から、移行基盤となりうる技術を提示すると同時に、移行方法を選択する際の判断基準について整理しました。最後に、ベンダによるレガシー移行の実例を紹介するとともに、有識者による検討会での議論も踏まえながら、移行にあたって検討すべきステップと事後評価で用いるべき指標について提示しています。
目次
- 本研究の背景
- システム刷新を取り巻く技術及びアーキテクチャ動向
- システム刷新におけるガバナンス
- まとめ
- Appendix
調査研究実施以降の関連する政府の取組
政府情報システムの投資対効果の把握や投資管理の確立について検討する取り組みは継続して行われ、特に政府情報システム改革検討会では、本調査研究の内容を参照して現状分析と論点整理が行われました。その後も、電子行政推進に関する基本方針や世界最先端IT国家創造宣言において投資管理の強化の方針が打ち出されました。この方針に基づき、2014年度以降は政府情報システムに関する投資計画が策定しています。
- 政府情報システム改革検討会(総務省)
2010年11月の第3回政府情報システム改革検討会では、本報告書をベースに現状分析および論点整理が行われました。
この論点をめぐる以降の議論も踏まえて、同検討会の提言では、投資対効果の検証の重要性、「業務・システム最適化指針」や「情報システムに係る政府調達の基本指針」等のガイドライン見直しが盛り込まれています。
- 電子行政推進に関する基本方針(2011年8月IT戦略本部決定)
基本方針の1つとして、IT投資管理の確立・強化が謳われ、投資対効果の最大化と、IT投資の全体最適化(情報システムの統合・集約化)が推進されました。
- 世界最先端IT国家創造宣言 工程表(2013年6月IT総合戦略本部決定)
2014年度予算から、政府情報システム改革に関するロードマップの着実な実施に向けた、政府情報システムに関する投資計画を策定することとし、同計画に①投資額の詳細と②投資による効果・KPIを明らかにすることとなりました。
この工程表に基づき、政府情報システム投資計画が毎年度作成されています。