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2023.08.10

2023年8月号 トピックス 「市民参加型合意形成プラットフォーム」によるフィードバックループ確立と市民のエンパワーメントを目指して

株式会社Liquitous
代表取締役CEO
栗本 拓幸

取締役
藤井 海

1.市民参加型合意形成プラットフォームとは何か

(1)市民参加型合意形成プラットフォームの背景
 これまでは、自治体にとって、自治会等の地域コミュニティとの連携は、住民の行政ニーズを収集する回路の1つであった。一方、近年は、若年層や現役世代をはじめ、住民と地域コミュニティとの関わりが極めて弱くなりつつあることも一因として、自治体と住民の関係性は希薄化している。
 同時に、公共インフラや地域社会の持続可能性に警鐘が鳴らされ、自治体間競争が厳しさを増している結果、自治体にとって、より的確に住民やステークホルダーのニーズを把握する動機は以前よりも高まっている。また、自治体が、これまで以上に住民に地域への参加/参画を期待する向きも見受けられる。
 他方で、新型コロナウイルス感染症拡大により、各自治体は対面のワークショップなどの開催が困難になった。同時に、行政事務全般でデジタル化・DXは急速に進展し、幅広い世代でスマートフォンの普及率が極めて高い状態となったことで、自治体は、以前と比較してデジタル技術を前面に打ち出した施策に取り組みやすくなった。
 こうした背景から、兵庫県加古川市では「Decidim」というスペイン・バルセロナ市で開発されたオープンソースの市民参加型合意形成プラットフォームの導入・運用が、神奈川県鎌倉市では、弊社が開発するプラットフォーム「Liqlid」を用いた市民参加型共創プラットフォームの運用が進んでいる。

 

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