1.国際防災分野の潮流
2015年3月に仙台で開催された第3回国連防災世界会議において、『仙台防災枠組(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015-2030)』が策定された。この枠組は世界187か国によって策定されたものである。
2015年に同じく策定された『持続可能な開発目標(SDGs)』や国連気候変動枠組条約会議(COP21)で採択された『パリ協定(Paris Agreement)』に対しても、この仙台防災枠組による防災の視点が導入されている。具体的には、SDGsにおけるGoal 11:包括的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する、Goal 13:気候変動及びその影響を削減するための緊急対策を講じる等である1。
SDGsの前身である『ミレニアム開発目標(MDGs)』には、当時災害が頻発し深刻な被害が出ていたにもかかわらず、防災に関する目標の記述がなかったとされる。その結果、防災関連のプロジェクトに対する優先順位は高まらず、災害が発生するたびに多くの人的被害、経済被害が発生し、被災後の災害対応および人道援助に巨額の資金を使用するという負のスパイラルに陥っていた2。そこでSDGsには防災に関する目標を設定すべく、仙台防災枠組をSDGs設定の動きと関連付けることを念頭に国連では交渉が行われていたのである。
1 首相官邸(平成30年)海外展開戦略(防災)
2 小野(2016)仙台防災枠組における目標設定までの道のり、用語・指標設定の現状、および災害統計グローバルセンターについて