ブロックチェーン技術を基盤に、分散・自律をキーワードとして、価値の共創・保有・交換が可能になるWeb3.0。そこでは“主役”がGAFAMなどグローバルな大規模プラットフォーマーから個々のユーザーやそのグループへと移っていくとされる。行政分野での活用も大いに期待されているものの、具体的な取組は国内外ともにまだ多くはない。
そんな中、昨年6月に自治体として国内で初めて、地域振興への積極的な活用を打ち出したのが岩手県の紫波町だ。盛岡市のベッドタウンとしても知られる同町は、「Web3タウン」の旗印を掲げ、独自のDAOやトークンの導入を進めている。この挑戦について、企画総務部企画課副課長の森川高博氏と、同町と連携する地元ICT企業、SOKO LIFE TECHNOLOGYの代表取締役、菅原壮弘氏が語る。
1.Web3.0に期待しているのは人とお金が足りないから
- まず、紫波町がWeb3.0に着目するに至った経緯や背景を教えてください。
森川:きっかけは、今日同席しているSOKO LIFE TECHNOLOGYの菅原さんから、Web3.0の仕組みは地方創生を進めていくにあたって、うまく施策と噛み合うのではないかという提案をいただいたことでした。
Web3.0に取り組む一番の目的は、地域を超えて多様な人々と結びつきを作り出すことにあります。関係人口を増やしていくということですね。その手段としてWeb3.0をうまく利用していこうというのが活動の主旨です。紫波町に限らず、地方創生、地方を元気にしていこうと多くの自治体がさまざまに策を講じていますが、紫波町としては地方創生の鍵は人にあると考えています。その人のつながりを拡げていくために、Web3.0のようなデジタルの技術を活用していこうというのが基本的な考え方です。