1.はじめに
2018(平成30年)年7月に改定された「デジタル・ガバメント実行計画」(平成30年7月20日デジタル・ガバメント閣僚会議決定。現在は廃止。)において、本格的な人口減少社会を見据え、ICTやAI等を活用した標準的かつ効率的な業務プロセスを構築する旨が示唆された。
AIの導入済み地方自治体は、2020年度時点で、都道府県が68%まで増加し、指定都市は50%の団体で導入済みとなった。その他の市区町村は8%にとどまっているが、実証中、導入予定、導入検討中を含めると50%以上の地方自治体がAIの導入に向けて取り組んでいる。
地方自治体で活用できるAIの手法を検討するにあたり、地方自治体職員の業務についてヒアリングを行った結果、職員の数が減少傾向にある中で、電話での問い合わせ対応が業務に占める割合が依然として高いにもかかわらず、財政面でコールセンターの設置が難しく、電話応対が職員の業務時間を圧迫しているケースが多いことが判明した。また、住民目線で見ると、受付時間が平日の開庁時間内に限定されていることに加えて、自治体側の回線数に限りがあることから電話が繋がりにくいという課題があると判明した。
これらの現状を受けて、株式会社サイバーエージェントでは、100%子会社である株式会社AI Shiftと共同開発した地方自治体向けのAI電話自動応対サービスによって、AIによる音声対話形式での電話の自動応対を実現するべく地方自治体にサービス提供を実施し、職員の業務効率化や住民サービスの向上を支援している。
本稿では、AIを使った電話の自動応対サービスについて概説した上で、今後の展望を記したい。