本稿では、厚生労働省のEBPMの取組の一環として設置した、EBPMの推進に係る若手・中堅プロジェクトチーム(以下「プロジェクトチーム」という。)についてご紹介したい。なお、本稿における内容は、著者個人の意見であり、厚生労働省の見解を示すものではない。
1.プロジェクトチーム設置の背景
まずは、プロジェクトチームが設置された経緯となった統計改革について説明したい。
2019年に問題となった毎月勤労統計に係る不適切事案を踏まえて、厚生労働省は、真の国民の皆様や統計ユーザーの視点に立った公的統計を作成できる組織へと生まれ変わるべく、有識者からの提言を受けて、統計改革の羅針盤ともいえる「厚生労働省統計改革ビジョン2019」を同年8月に策定し、統計改革を推進することにした1。
この中では、①統計に対する認識・リテラシーの向上、②統計業務の改善、③組織の改革とガバナンス強化といった、不適切事案に対する再発防止が示された。また、統計情報は様々なユーザーによる活用が重ねられることにより、誤りが発見され、品質が改善される側面があることから、政策を所管する部局においてもEBPMを推進することにより、統計を実際に利用することを通じて統計の質を向上させていくことが必要という考え方が示された。
1 「厚生労働省統計改革ビジョン」を実現するために工程表を策定している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/toukei/goriyou/chousahyo_00007.html
を参照。現在は、2019年10月に策定したものを改定し、2022年12月に公表した工程表に基づき、統計改革を推進している。