神奈川県川崎市では、国民健康保険料の滞納者への催告業務を効率化するために、AIを活用してコールセンターの電話催告における接触率の向上を図り収入確保に貢献している。AIの導入は2018年にさかのぼり、コールセンターによる電話催告業務へのAI導入は政令市としては当時初の事例だったという。
住民一人ひとりの状況に応じた行政対応の実現はAIに大きな期待が寄せられる一方で、データの取り扱いに関しては個人情報保護などへの配慮も求められるなどまだハードルも存在する。川崎市がAIの導入に至った背景とその経緯、AI導入に伴う課題や今後の可能性について、川崎市健康福祉局医療保険部の小林氏、今井氏、森田氏、冨田氏および受託企業であるNECに話を聞いた。
1.収納率向上の改善策としてのAI活用
- 川崎市では、AIを活用して国民健康保険料の滞納者への電話催告業務にAIを導入しているとのことですが、その概要について教えてください。
川崎市:市では国民健康保険料の滞納者に対して、納付を求めるために電話催告を行う委託事業を行っていますが、催告先の接触率を上げるための方策として、AIを活用しています。膨大な対象の中から、在宅している可能性が高い対象者をAIによって選び出して表示するシステムとなっています。コールセンターのオペレーターは自動的に表示された対象者に次々と電話をしていきます。