マイナポータルAPIの民間活用事例第1号となった障害者手帳アプリ「ミライロID」の普及が加速している。障害者割引のための本人確認手段としてミライロIDを利用できる公的施設が増加しており、既に200の地方公共団体に採用されている。民間事業者のサービスでは、障害者向けのクーポン配布や障害者割引を適用したオンラインチケットの提供までミライロID上で行う事例も出てきており、障害者に外出や消費を促し、顧客体験を変革するマーケティングプラットフォームとしての機能も備えるようになっている。紙やカード型手帳の単なる代替の域を超え、デジタル化による新たな価値創出につなげたビジネスイノベーションと言えよう。その出発点にあったのは、創業者自身が障害者手帳の利用を通じて感じた“痛み”であった。ミライロIDを提供するスタートアップ企業であるミライロの創業者で代表取締役社長を務める垣内俊哉氏に、サービス開発の背景や、同社のビジョンを聞いた。
1.デジタル化でしか解決できない課題が顕在化
ミライロIDは障害者手帳を持つ人を対象としたモバイルアプリで、障害者手帳の情報、福祉機器の仕様、求めるサポート内容などを登録できる。商業施設や公的機関で本人確認書類として障害者手帳の代わりに提示することで割引などを受けられるのが基本的な機能だ。