カメラ、センサー、通信、制御システム、AI──幅広いテクノロジーの急速な進展を受けて、自動運転は夢の技術からリアルなソリューションへと変貌しつつある。開発と事業化が世界各国のさまざまなプレイヤーによって進められるなか、日本でも各地で自治体と企業とが協働しての実証実験が続けられてきた。これまでの成果や今後の方向性が必ずしも明確には見えていないなか、自動運転は今、技術面、実用面でどのような段階にあるのか。そして今後、経済や社会をどのように変えていくのか。
国内外での自動運転の進化と普及をウォッチし続けるオンラインメディア「自動運転ラボ」を運営する下山哲平氏に、自動運転の過去・現在・未来を聞いた。
1.“自動運転もどき”から“ほぼ自動運転”にまで進化
- 自治体がパートナーとなって取り組む自動運転プロジェクトは国内に数多くあります。この取り組みはどのように始まり、どのように進んできたと捉えていますか。
下山:自治体ベースの自動運転のパイロットプロジェクトにはさまざまな形がありますが、まず言えることは、その多くが地方におけるバス系の実証実験だということです。路線バス、オンデマンド・バスに加えてオンデマンド・シャトル、オンデマンド・タクシーなど、幅広い意味でバス系と呼べる交通手段の自動運転について、地方の自治体が自動運転系企業や情報システム企業などと組んで実証実験を行ってきました。