1.はじめに
昨今、アフリカ地域ではモバイルインフラやインターネットの急速な拡張に伴い、急速に社会・経済のデジタル化が進んでいる。特に解決すべき社会・経済課題が豊富なこともあり(ニーズの宝庫)、スタートアップを含む民間企業により多くの革新的なデジタルソリューションが生まれてきている。また国境を越えた連携も進んできており、地域政治・経済圏やアフリカ全体として自由貿易を進めるアフリカ大陸自由貿易圏(AfCTA)の運営も2021年に開始された。このような枠組みをサポートするデジタルソリューションの必要性も高まってきている。これらの社会・経済のデジタル化と歩調を合わせる形で公共サービスの電子化や政府・行政組織の電子化・効率化も多くの国で進んでいる。特にほとんどのアフリカ諸国ではレガシーシステムが少ないことやモバイルマネーを含む電子決済などが進んでいることもあり、世界的に見てもベンチマーク的な電子政府ソリューションの施行も行われてきている。この動きは特にCOVID-19禍で加速されており、今後このデジタル化された公共サービスの拡充の動きは「新しい標準」(New Normal)となっていく事が予想されている。
本稿では日本にあまりなじみのないアフリカ諸国における電子政府や公共サービスの電子化の動きを紹介したい。