1.はじめに
我が国の経済社会は様々な重要インフラサービスの継続的な提供に依存しており、安全で安心な社会の実現には、脅威が年々高まっている重要インフラのサイバーセキュリティを確保し、強靱性を高めることが不可欠である。
このため政府は、重要インフラ事業者におけるサイバーセキュリティの確保の促進のため、政府と重要インフラ事業者等との共通の行動計画を策定し、これに基づき様々な取組を推進してきたところである。
他方、重要インフラを取り巻く脅威は年々高度化・巧妙化しており、その一方で重要インフラ分野ごとにシステムの利用形態が異なることから、各組織における脅威の差異が拡大してきている。かかる状況を踏まえ、2022年6月、政府はサイバーセキュリティ戦略本部において、「重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画」(以下「新たな行動計画」という。)を策定することを決定した。
本稿では、我が国の重要インフラ防護の基本的枠組みである新たな行動計画の概要について解説を行う。