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2022.12.10

2022年12月号 トピックス ノーコードツールでアプリ開発、熊本県阿蘇郡小国町のDXへの挑戦

小国町役場政策課
課長補佐
長谷部 大輔

取材/小池 千尋(行政情報システム研究所)、狩野 英司(同) 文/谷崎 朋子

 ノーコードツールを駆使してモバイルアプリ開発に取り組む、小国町役場。職員自らが学び、手を動かしながら“あると便利”なアプリを作って、DXに向けて着実な一歩を踏み出した同町だが、その道のりは必ずしも平坦ではなかった。難色を示す職員に新しいものを受け入れてもらうための工夫、取り組みを全体に広げるためのアイディアなど、試行錯誤する中で生まれた知見は多くの自治体にとっても参考になる。そこで、同町でモバイルアプリ開発を活用した庁内DX推進の中心的役割を担った、小国町役場政策課 課長補佐の長谷部大輔氏に詳細を伺った。

1.1年足らずで業務アプリを4本作成

 熊本県北東部に位置する緑豊かな小国町。特にIT部門があるわけでもなく、専任担当者や専門家がいるわけでもない同町役場で今、DXに向けた取り組みが静かに始まっている。ノーコードツールを導入して1年足らずで、検温アプリ、被災状況報告アプリ、公用車管理アプリ、選挙事務管理アプリと、4つものモバイルアプリを職員たちが自らの手で開発することに成功した同町は、DXの未来に向かって一歩ずつ着実に前進を続けている。
 同町がモバイルアプリの開発を始めたのは、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の寄附を受けたソフトウェア開発会社アステリアから、自社の技術でも支援したいのでデジタル化/DXに挑戦してみないかと声をかけられたことがきっかけだった。小国町役場政策課で課長補佐を務める長谷部大輔氏は当時を振り返り、同社製品のデモを交えた協議を重ねる中で、テンプレートが豊富でモバイルアプリを簡単に作成できるツール「Platio」(プラティオ)に目がとまり、試験的に何か作ってみることにしたと話す。