1.はじめに
デジタル社会化が急速に進展するにつれ、情報の受発信に問題を抱える人々が経済社会から排除される恐れは高まっている。排除することなく共に生きる「共生デジタル社会」を形成していくには、情報通信機器・サービスが高齢者や障害者、一時的に障害を抱える人など多様な人々のニーズに対応する、すなわち情報アクセシビリティに対応する必要がある。
共生デジタル社会の実現に向けて多くの障害者団体が声を上げ、議員立法『障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(通称「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」、以降、施策推進法)』が2022年の通常国会で成立し、施行された。
本稿では障害者政策の歴史を振り返ったうえで、施策推進法の意義と今後の課題について説明する。