1.はじめに
新しい働き方としてテレワークへの関心がかつてなく高まっている。そもそもテレワークとは、情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を指し、在宅勤務だけでなくモバイルワーク、サテライトオフィス勤務なども含まれる。テレワークの始まりは1970年代の米国だった。大気汚染対策の一環として、自動車通勤を減らすことが目的だったといわれている。
日本では1980年代半ばにNECやNTTが郊外にサテライトオフィスを設置したのが始まりとなった。当時はソフトウェア人材の不足を背景として、育児中の女性プログラマーが在宅勤務によって仕事を継続するなどの例が散見された。しかし、その後も長い間テレワークは定着せず、2017年に政府は、「世界最先端IT宣言・官民データ活用推進基本計画」(平成29年5月30日閣議決定)において、2020年にテレワーク導入企業率を2012年(11.5%)比で3倍の34.5%に増やすというKPIを設定した。それを契機として、働き方改革の先進大企業を中心にテレワークの導入が進み、2019年には20.2%まで上昇したが、34.5%達成にはほど遠い状況となっていた。