1.ソシオテクニカルシステム観点から整理するデジタル時代の災害対応
前回の連載は少し概念的な話題が多かったので、今回は具体的な事例に基づいたソシオテクニカルシステムの構想について考えてみたい。筆者が国際大学GLOCOMで主宰している「災害時コミュニケーションを促進するICT利活用に関する首長研究会」の議論を基に報告する。この研究会は2019年に、全国の基礎自治体と企業にお声がけをして始めた産官学の研究コンソーシアムである。これまで災害の被害にあった自治体の危機管理部門や情報システム部門の職員を中心に、過去の災害対応の教訓の共有と今後整備されるべき共通基盤の要件などについて、デジタル活用の観点から議論することを目的とした。