令和4年6月に「デジタル田園都市国家構想基本方針」が閣議決定された。デジタル化の波を地方から起こし、地方と都市の差を縮めていくことで世界とつながることを目指したものであり、令和3年より全8回にわたる「デジタル田園都市国家構想実現会議」での検討を経て決定されたものだ。同会議は岸田内閣総理大臣を議長とし、構成員には若宮デジタル田園都市国家構想担当大臣や牧島デジタル大臣等各大臣のほか、全国各地の知事や市長、町長など地方の長や大学教授、ベンチャー企業など多彩な顔触れが揃う。会議では日本各地のデジタル化の先進的な取組事例が紹介されるとともに、課題の共有や構想の方向性に関する議論が行われ、基本方針案の決定に至った。
同会議の事務局審議官の新井孝雄氏に、「デジタル田園都市国家構想」の全体像や地方活性化にとってのデジタル技術の意義、デジタル技術導入・活用上の課題、その解決に向けた施策や今後の展望等について伺った。
地方がデジタル化を自主的に進めるための基盤整備と支援
- 今回、「デジタル田園都市国家構想基本方針」が決定されました。この方針はどのような背景で策定されたのでしょうか。その中でデジタル技術はどのような意義を持つのでしょうか。
新井:地方は、人口減少や少子高齢化、産業空洞化など多くの社会課題を抱えています。課題に直面している地方にこそ、AIやビッグデータ、IoTといったデジタル技術を活用するニーズがあるのではないかと考えています。まさにデジタルこそが地方の抱える社会課題を解決する鍵であり、新しい付加価値を生み出す源泉ではないかと認識しています。