VUCAと呼ばれる先が見えない時代の中で、社会課題はより一層複雑化・多様化し、従来の手法では解決することが難しくなっている。こうした状況下では、行政にもイノベーションを通じて、従来にはない課題解決策を創出し続けることがますます重要になってきている。
今、行政のイノベーションをどのように捉え、取り組んでいくべきなのか。デジタル庁の初代デジタル監の石倉洋子氏と、日本のスタートアップ界をけん引するシナモンAI CEOの平野未来氏に、行政におけるイノベーションについて話を聞いた。
1.イノベーションを起こすのに重要なのは「イメージを描くこと」
- これからお二人にイノベーションと行政についてお話を伺っていきますが、まず、お二人は「イノベーション」をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。
石倉:私は、イノベーションとはいろいろなアイデアの組み合わせだと思います。
これまでの民間企業での経験から考えると、企業はそもそも常に新しいことをやっていかないと存続することができません。ですから、イノベーションの必要性については何十年も昔から認識されています。しかし、特に最近は、なかなかイノベーションを起こすことができなかった。その背景にあるのは、イノベーションとは、全く新しいものを何もないところから作ることと思い込んでいたからのようです。これは、実際非常に難しいことです。