機関誌記事(記事単位)

2022.02.15

2022年2月号 連載企画 イノベーションのためのサービスデザインNo.12 サービスデザインとバウンダリーオブジェクト

株式会社コンセント
代表
長谷川 敦士

 バウンダリーオブジェクト(以下BO)という概念を知っているだろうか。日本では境界オブジェクトとも呼ばれるこの概念は、「異なった領域をつなぐもの」として知られており、コラボレーションが求められる領域全般で注目を集めており、サービスデザインの領域でも議論されている。
 本稿ではこのBOの概念を紹介しながら、サービスデザイン領域におけるBOの活用実践、そして今後の可能性について論じていこう。

 

1 サービスデザインとバウンダリーオブジェクト

(1)多様なプレイヤーの多様な関心
 サービスデザインのプロジェクトは、公共領域であれ、商業的なプロジェクトであれ、通常さまざまなプレイヤーによって構成される。公共のデジタルサービスの開発であれば、サービスデザインのエキスパート、市役所の職員(行政の担当者)、ソフトウェア開発者などによってチームは構成される。さらに、市民を巻き込むプロジェクトの場合は、そこに一般市民も加わるだろう。

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