1.はじめに
大量生産・大量消費・大量廃棄のリニアエコノミー(線形経済)から環境と経済を両立させるサーキュラーエコノミー(循環経済)への転換が課題になっている。そのためには、廃棄物を減らし、リサイクル率を向上させることが基本となる。日本で古くから循環経済をめざした取り組みが行われ、「リサイクルの優等生」と言われてきたのが古紙である。
紙の消費量を抑えて森林資源を守るために、トイレットペーパー等と古紙を交換する業者が事業所や家庭を個別訪問したり、自治体が定期的に資源回収を行ったり、消費者が街なかの古紙回収ボックスに運んだりと、さまざまな方法によって新聞紙、雑誌、チラシ、段ボールが集められ、その再利用も行われてきた。その結果、2020年の紙の全消費量2,222万トンのうち古紙回収量が占める比率(回収率)は85%の1,888万トンに達し、紙の全生産量のうち古紙消費量が占める比率(利用率)も67%と世界のトップクラスを占めるようになっている。日本の製紙産業は紙の生産者であると同時に古紙の需要者として循環サイクルを築くための努力を続けてきたと言えよう。