高齢化社会、金融・インフラへの投資の落ち込みによ経済成長率の低下などから、生産性を飛躍的に引き上げなければ、高所得国への移行が困難になるという危機感を抱えるタイ。2016年には、先進国への仲間入りを果たすために、デジタルテクノロジーの活用を軸とした「20カ年国家戦略」を打ち出した。この戦略を代表するビジョンとして掲げられたのが、「Thailand 4.0」だ。「Thailand 4.0」では、イノベーション、サービス貿易、デジタル化推進を中心とした経済社会を目指している。その発展の鍵となるイノベーション庁は、2003年に科学技術省のもとに設立され、経済の再構築と競争力の強化を促進し、タイのイノベーションシステムを発展させることを使命とした組織だ。同庁を率いるパン・アルジ・チャイラタナ局長にDX(デジタルトランスフォーメーション)やイノベーション政策をいかに推進しているかを訊いた。