1.課題提起「業務量可視化から見えてくるもの」
自治体職員を取りまく労働環境は昨年からのコロナ禍に加え、自然災害の頻発などにより多忙を極めている。職員の高齢化が進む一方で財政難の影響から十分な労働力の確保も困難になっている。これまではベテラン職員の経験やノウハウ(暗黙知)でこなしてきた緊急時対応(火事場仕事)もコロナ禍の長期戦では限界に達し、いよいよ文章化・マニュアル化といった形式知化の必然性が明確になってきている。
筆者は、約3年前から2040年問題に対する各自治体の対応プロセスに大きな関心を持ち、都道府県、政令指定都市、中核市、一般市というモデル別にリサーチを進めてきた。その中でコロナ禍が大きな転換点となったことは明確である。自治体職員は3密回避から交代勤務、在宅勤務、コロナ関連業務支援を求められるようになり、その過程で職務内容の形式知化(文章化・マニュアル化)の必然性を強く認識するようになったのではないだろうか。