東京オリンピック・パラリンピックが開催され、もはや緊急事態宣言の効果も薄く、新型コロナウイルスの感染者は各地で連日最高記録を更新し、医療崩壊が叫ばれている。
新型コロナウイルスのわが国上陸から1年半を超えたいま、本稿ではコロナ禍の行政におけるデジタル技術の活用について、現時点(2021年8月上旬)での検証を試みる。国・地方自治体の取組みに加え、行政サービスを補完する民間の取組みについても触れたい。
1.デジタル技術を活用した新型コロナウイルス感染症対策
(1)人流データの把握
厚生労働省は2020年3月27日、「新型コロナウイルス感染症のクラスター対策に資する情報提供に関する協定締結の呼びかけについて」を発表した(以下、この協定を「情報提供協定」という)。民間事業者等に対し、事業活動等を通じて得た、個人を特定されない形でのクラスター対策に資する情報の提供を呼びかけたものである。