2020年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において、データ駆動型の農業経営により消費者ニーズに的確に対応した価値を創造・提供する農業(FaaS:Farming as a Service)への変革が提唱された。農林水産省は、その実現に向けて、2021年3月に「農業DX構想」を策定するとともに、効率の高い営農や付加価値の高い農産物・食品の提供の実現に向けて、農業のデジタルトランスフォーメーションを推進するためにはデジタル人材が不可欠との認識に至り、中央省庁の中では経済産業省に続き、いち早く民間人材の登用に踏み切った。同省はどのような問題意識に立ち、どのような役割を期待して採用を行ったのか、また、採用後にどのような人事管理を行い、どのような成果が得られたのか。農林水産業や食関連産業のDXの実現に向けた政策を進めるデジタル戦略グループを率い、着任以来、デジタル人材の採用を中心となって推進してきた農林水産省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官の信夫氏に話を聞いた。