1.はじめに
前編(本誌2021年2月号に掲載)では「国連電子政府調査(UN e-Government Survey)」について解説しました。後編ではOECDが実施した「デジタル・ガバメント指標(Digital Government Index、以下「DGI」)」の結果について引き続き分析し、我が国の国際的な位置づけについて解説したいと思います。
2.DGIの背景
前編で述べたとおり、国連が実施しているサーベイの結果は、必ずしもデジタル・ガバメントに関係するものではない、例えば就学率などが指標として大きなウェイトを占めていました。それに比べ、DGIはその名の通り、デジタル・ガバメントに特化した内容となっています。
その背景には、この活動をおこなっている主体の違いがあります。国連サーベイの主体が経済社会局(DESA:Department of Economics and Social Affairs)であり、社会や経済の成長を推進することが同局の主要な取組となっています。一方、OECDのDGIを推進している主体は公共ガバナンス部門です。各国のCIOやCDOが出席するeLeadersという会議において調査内容が検討され、その配下に設置された各種実務者会合などで専門家による議論がおこなわれています。そのため、DGIの指標は、よりデジタル・ガバメントに特化した、専門的かつ詳細な分析となっています。