1.はじめに
神戸市では、ローコードツールを活用して業務改革に取り組むという「職員による内製化」が広がりを見せている。ローコードツールはデジタル人材を育成するという観点でも有用なツールであり、本記事においては、神戸市でどのように職員間に広がっていったのか、活用事例を踏まえながら経緯等を紹介する。
2.働き方改革の推進
神戸市は平成27年に在宅勤務制度を導入するなど他都市に先駆けるように働き方改革に取り組んできたが、その動きを加速させるために、平成29年に企画調整局・行財政局を中心としたプロジェクトチームである「働き方改革推進チーム」を結成した。このチームでは、「職員の意識醸成」、「多様な働き方の実現」、「業務の省力化・生産性向上」、「時間外勤務の縮減」を4本柱として働き方改革を推進しているが、特に力を入れたのは「職員の意識醸成」である。
職員一人一人が問題意識を持ち、従来の考え方の延長上でない創造力を発揮し、市役所全体がチームとして明るく風通しの良い職場環境となれば、改革も継続的な取り組みになると考え、区役所や出先機関等も含めた職員一人一人の意識を変える仕掛けを用意した。
その1つとして、「ICT業務改革専門官(現:デジタル化専門官)」という民間のデジタル人材を採用したことが挙げられる。専門官は原則3年間の任期付職員で、各職場のデジタル化の支援や技術指導を担っており、デジタル人材の育成にも大きく寄与している。