1.はじめに
誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル化を掲げたデジタル庁発足に向けた基本方針の宣言以降、これまでと全く新しい考え方ややり方で業務を推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)が言葉としても実感としても徐々に我々国民の中でも浸透してきている。内製化というのはその中でも「大取」的な存在であり、大きな変化を受け入れなければならない。日本人にとって最も苦手な分野の一つであろう。本稿では海外の動向を踏まえながら今後の日本における内製化について考えていきたい。
2.内製化に関する海外の動向
2.1 内製化登場の背景とアジャイル
内製化は文字通り、システムやアプリケーションの開発を外注し、多くが請負契約等で遂行されるためお任せ状態になる状況が多く発生する「ウォーターフォール」型と呼ばれるやり方と対比し得る概念と言える。ウォーターフォール型では時には完成品を受け取るのに数年かかり、その後のシステム変更にも時間とお金がかかる。それでは時代の変化や効率的な業務遂行にならないため「アジャイル」型の開発が脚光を浴び、自らの要件をビジネスニーズに合わせて柔軟にシステム開発を行う=内製化という変化が起きたため、内製化=アジャイル開発の意味が内包されるようになった。参考までに、「DevOps」はアジャイル開発によりシステムや製品を開発し保守するメソドロジーであり、こちらも同義に使われる。