1.はじめに
経済産業省では、これまで行政のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進してきました。本稿では、経済産業省がこれまで進めてきたDXの取組、中でも2020年から運用を開始して執筆時点(2021年2月)でまもなく30万ユーザーに迫ろうとしている認証サービスである「GビズID」にフォーカスし、なぜこのサービスが必要なのか、何が可能となるのか、今後の展望等についてお伝えします。
2.経済産業省が進めてきたDXの取組
2021年9月にデジタル庁が設置されることが決定し、いま世の中ではDXに対する関心が非常に高まっていることを感じます。縦割りと言われていた行政の分野を横串でつなげ、民間企業出身のIT人材を積極的に活用していくなど、省庁としては異例と言われる取組に対し、どのような組織ができるのかと期待感を持って注視されている読者の方も多いかと思います。
このような取組をこれまで1省庁の中から進めてきた組織があることをご存知でしょうか。それが経済産業省DX室です(図1)。
図1 経済産業省のデジタル・ガバメントに関するアプローチ
(出典)経済産業省作成
経済産業省DX室では、省庁の垣根を超えたシステムであるJグランツ(様々な補助金を申請することができるシステム。https://www.jgrantsportal.go.jp/)やGビズID(詳細は後述。https://gbiz-id.go.jp/)の開発・運用を行ったり、民間企業出身の人材をデジタル化推進マネージャーとして雇用しプロジェクトマネージャーとして活躍いただいたり、行政機関としては先進的な取組を率先して進めてきました。また、エストニアのX-Roadを参考にしたデータ連携システムであるGビズコネクトも現在実証段階まで進んでいます(図2)。
図2 法人デジタルプラットフォームの構成
(出典)経済産業省作成
これら省庁横断のシステムについてはデジタル庁設立後にデジタル庁に移管して運用される予定ですが、開発を担当したDX室として、その意義やシステムに込めた想いをお伝えできればと考えています。