新型コロナの収束はまだ先が読めず、むしろ、第二波、第三波への対応が不可欠な状況です。政府内では今後1年間の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を巡る議論が始まり、その中でも、社会や行政のデジタル化の推進、デジタル・ガバメントを国民目線で構築していくことが最優先課題となっています。
そこで、本連載では3回にわたり、私たちアスコエの、行政サービスデータベース『ユニバーサルメニュー』を中心にした様々な取り組みを通じた、"3密”時代のデジタル・ガバメントの新しい流れについてお話したいと思います。
第1回の今回は、もはやどの自治体でも不可欠な取り組みになりつつある「電子申請」について、どうしたら今までの様々な取り組みの”次のステージ”に進める取り組みができるかをお話します。
1.デジタル・ガバメント計画と自治体における現状
デジタル・ガバメント実行計画(2019年12月20日閣議決定)において、「(前略)デジタル・ガバメントの実現は、単に情報システムを整備する、手続をオンライン化する、手続に係る費用を削減する、オンライン利用率を上げるということを意味するものではない。行政サービスは、そもそも、国民や企業に価値を提供するもの、又は国民や企業が価値を創造する一助となるものでなければならない。こうした観点から、利用者中心の行政サービス改革を徹底し、利用者から見て一連のサービス全体が、『すぐ使えて』、『簡単』で、『便利』な行政サービスを実現する。(中略)行政手続の存在を前提とし、そのデジタル化自体が目的化すると、本来目指している『利用者の利便性向上』が二の次とされてしまうおそれがある。(後略)」と記されているように、デジタル・ガバメントの推進には、利用者視点が不可欠です。一方、利用者(住民)の利便性・体験の向上はもとより、2040年には今の半数の公務員で行政を支える必要があるとも言われている背景から、クラウドやAI、RPAなどの技術を利用し、職員減少とサービスアップの双方を実現するために、多くの自治体が先行事例を作り、実証実験を行うなどの取り組みを進めています。