機関誌記事(記事単位)

2020.04.10

2020年4月号連載企画 イノベーションのためのサービスデザイン No.6 行動経済学の活用と透明性

株式会社コンセント 代表
武蔵野美術大学大学院造形構想研究科 教授
Service Design Network 日本支部 共同代表
長谷川 敦士

1.行政分野における行動経済学の活用

行政分野における行動経済学活用が盛んになっている。行動経済学を元にした行動洞察チーム(Behavioural Insights Team)いわゆるナッジユニットと呼ばれるような活動はここ数年で世界中に広まり、日本でも経済産業省によるMETIナッジユニット、環境省ナッジ・ユニットなどを始めとして活動が見られるようになってきた。

METIナッジユニットを設置しました|経済産業省

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190521002/20190521002.html

第1回日本版ナッジ・ユニット連絡会議を開催しました|環境省

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge/renrakukai.html

行動経済学とは従来の合理的な人の行動モデルに対して「限定合理性」と呼ばれる実際の状況における人の行動を組み込んだモデルを用いた経済学のことを指す。行動経済学と呼ばれているが、経済というより心理学的な行動モデル自体を意味することも多い。行動経済学の代表的な知見としては、たとえば、選択肢というものは多ければ多いほどよいと考えられがちであるが、実はあまり選択肢が多すぎると人は選ぶことをやめてしまうため適切な数の選択肢が求められるという「選択アーキテクチャ」、まったく関係のない直前に得た情報に次の思考が影響してしまうという「アンカリング(係留効果)」といったような考え方が挙げられる。

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