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2020.02.10

2020年2月号連載企画 海外公共分野ICT化の潮流 No.16 民営企業が主導した21世紀の社会インフラづくり~中国ITサービスが日本を抜いた10年

法政大学大学院
兼任講師 浦上 早苗

2010年代は、日本人が中国の経済力に対する見方を変えた10年間と言える。中国のGDPが2010年に日本を抜いて2位に浮上して以降、その技術力や消費力のパワーは徐々に日本で認識されるようになった。2015年には訪日中国人の購買力がクローズアップされ、「爆買い」という言葉が生まれ、2010年代後半に入ると、IT技術を活用した「中国発イノベーション」への関心が高まった。
中国の10年間のイノベーションをおぜん立てしたのが「スマートフォン」だ。2007年に生まれたiPhoneは多くの中国人にとって手の届かない高級品だったが、数年たつと中国や台湾のメーカーが格安のアンドロイドスマホを製造するようになり、急激に普及していった。
今年11月にLINEとヤフーが経営統合方針を発表したことは記憶に新しい。2社が日本での競争に終止符を打ち手を組んだ背景には、米国のGAFA(google、Amazon、Facebook、apple)や中国のBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)との差が開くことへの危機感がある。スマホという機会を平等に与えられながら、日本企業は中国ほどには新しい市場創出を実現できなかった。その理由を考えるヒントとして、モバイル決済、シェア自転車など2010年代に登場し、中国人のライフスタイルを一変させることになるサービスとヒットの背景を振り返る。

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