2019年1月に創業100周年を迎えた大手総合建設会社である前田建設工業株式会社は、既存の請負業だけでなく、新しいサービスを融合させた総合インフラサービス企業へと舵を切り、さまざまな取組みを進めている。そのベースといえるのが、早くから内製でのWebシステム開発に取り組み、アジャイル開発の実績を重ねていることだ。社内の大小30ほどの業務システムを開発、実装させ、それらを連携させる全社システム統合基盤も構築している。その内製化を推進、実践してきた中心人物である髙橋哲郎氏に、アジャイル開発導入の背景や取り組み、課題について聞く。
1.「開発生産性」に着目し、オープンソー
スによるアジャイル開発をスタート
前田建設工業がシステム開発にアジャイル手法を導入し始めたのは、2011年のこと。社内でWeb系システムのニーズが高まり、従来型のウォーターフォール開発ではなく、アジャイル開発で柔軟に、内製で手がけることとしました。その際に見様見真似で目指したのはヤフーやクックパッドなど、当時のアジャイル開発先進企業の取り組みです。おそらくウォーターフォール型で堅実に開発を進められているであろう、同業他社の動向にはあえて目を向けず、やるからには迷いなく突き進もうと決めたのです。