当研究所主催の「デジタル・ガバメントDays2019」を10月7日から10月10日までの4日間にわたり開催しました。
本イベントは⽇本および諸外国の政府・⾃治体等におけるデジタル・ガバメントの取組や課題に関して理解を深め、デジタル時代の⾏政のあり⽅について考える契機とすることを目的とするものです。イベント期間を通じて、延べ239名の方に来場いただき、最近の政策動向や有識者のオピニオン、最新の事例の共有を行うことができました。
本稿では、その概要と各セッションのポイントを報告します。
開催概要
【期間】2019年10月7日(月)~ 10日(木) 【場所】 日⽐⾕図書⽂化館 ⽇⽐⾕コンベンションホール(⼤ホール)(7日、9日)、 日⽐⾕図書⽂化館 スタジオプラス(⼩ホール)(8日、10日) 【参加者】 1日目 「世界のデジタル・ガバメントの今とこれから」:130名 2日目および4日目 エスノグラフィーワークショップ(行政職員対象):10名 3日目 「デザイン経営」とは何か。-みんなで考えるデザインと経営の新しいカタチ:99名 |
以下、各開催日のセッションのポイントをご紹介します。
1日目「世界のデジタル・ガバメントの今とこれから」
我が国および諸外国のデジタル・ガバメントに関する政策や取組について現役の行政官や専門家の方々に講義いただくとともに、公共分野の課題解決に取り組む民間企業3社にご登壇いただき、「テクノロジーで日本の社会課題はどこまで解決できるか?」というテーマでパネルディスカッションを実施しました。
諸外国の事例、パネルディスカッションに登壇された3企業の取組については、社会課題の解決等の明確な目的を定めたうえで、多様なステークホルダーをうまく取り込んで官民一体となって協業するというスタンスで臨んでいる姿勢が印象的であり、日本のデジタル・ガバメントの推進にもつながるヒントが詰まった内容でした。
図1 デジタル・ガバメントDays2019 1日目タイムテーブル
2日目および4日目 エスノグラフィーワークショップ(行政職員対象)
本ワークショップ(WS)のテーマはデザイン思考における「エスノグラフィー(ethnography)」です。WS初日は、講師の一般社団法人Design for Allの後藤真理絵氏にエスノグラフィーの手法について講義いただいたのち、グループごとに街に出て実際に社会で働いている人々を街頭で観察しエスノグラフィーを実践しました。WS2日目は、観察してきた人々をグルーピングしたうえで、そこから得られるインサイトを抽出する作業を行ったうえで、プレゼンとディスカッションを行い、エスノグラフィーに対する理解をより深めました。
参加者からは、自分が認識していなかったニーズや感情などを把握するための手法として有用であると感じたといった感想が寄せられました。
3日目「デザイン経営」とは何か。-みんなで考えるデザインと経営の新しいカタチ
特許庁では今年度、企業や⾏政機関におけるデザインの活⽤に向けた取組を調査し、デザインの有⽤性についての理解を拡げるため、「我が国のデザイン経営に関する調査研究」を実施しています。(※1)当研究所は同業務を受託していることから、その関連イベントとして、2018年に特許庁および経済産業省が公開した「デザイン経営」(※2)をテーマに、講演とパネルディスカッションを実施しました。
本セッションでは、広い意味での「デザイン」の活用について、政府が推進する意義、実際に活用している企業の事例を通じて考察を深めました。幅広い分野の民間企業からの参加があり、デザインの活用についての関心が高まっていることが感じられました。これからどのような事例が出てくるのか、我々も注視していきたいと考えています。
おかげさまを持ちまして、デジタル・ガバメントDays 2019を盛況のうちに終えることができました。4日間にわたりご登壇いただいた講師各位、受講者の皆様に改めて御礼申し上げます。当研究所では、デジタル・ガバメントの最新動向に引き続き注目し、セミナーや雑誌、ウェブサイトなどを通じて今後も様々な形で情報発信を行っていきます。
(※1)当研究所特設ページに概要等を掲載
https://www.iais.or.jp/reports/design-management/20190826/top/
(※2)経済産業省と特許庁は2018年5⽉に「デザイン経営宣⾔」(https://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180523002/20180523002-1.pdf)を発表しました。デザイン経営とはデザインを活⽤した経営⼿法であり、ブランド⼒向上やイノベーション⼒向上、ひいては企業競争⼒の強化に寄与するとされています。
図2 デジタル・ガバメントDays2019 3日目タイムテーブル
<タイムテーブル> 16:00 開場 16:15 Session1 「デザイン経営」とはなにか 外山雅暁氏(特許庁 デザイン経営プロジェクト) 16:45 Session2 日本と世界「デザイン」の違い 田仲薫氏(IDEO Tokyo) 17:15 Discussion 「デザインと経営」を考える <パネリスト> 田仲薫氏、外山雅暁氏、田中聡一郎氏(ヤマハ発動機) <ファシリテート> 若林恵氏(黒鳥社/元WIRED日本語版編集長) 18:15 まとめ 「デザインと経営の新しいカタチとは」 若林恵氏 18:45 ネットワーキング |
図3 1日目パネルディスカッション
図4 3日目パネルディスカッション