東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)に関わる人口移動については、1990年代半ばに地方圏(東京圏以外の道府県)から東京圏への転入者数が東京圏から地方圏への転出者数を上回る転入超過となって以来、23年連続で東京圏への転入超過の状況が続いており、直近の2018年の転入超過数は日本人移動者で見て13.6万人となっている。
過度な東京一極集中は、集積のメリットを超えて、①通勤時間の労苦等の多くの問題を生じさせる、②出生率の低い都市部への流出は更なる人口減少をもたらす、③地方の担い手の確保が困難になる、④東京圏に人や資産が一極集中した状態では首都直下地震などによって、被害も集中し、ひいては日本経済全体に大きなダメージを与えかねない、といったように問題が多い。このため、政府では地方創生の目的の一つとして、東京一極集中の是正に取り組んでいるところである。
このような課題に対し、2019年4月から、新たに、23区に通勤し、又は在住する者が、地方に就業し、かつ、移住した場合に、事業主体である都道府県が、移住支援金として最大100万円を交付する制度を設けることとした。当該政策の是非については、様々なご意見もあろうが、本稿では、本年10月にも順次スタートしていく民間求人サイトとの協業について、デジタル・ガバメント時代における公共サービスの在り方の一つとして、昨年の7月ころから開始した検討の状況を、順を追って、紹介していきたい。