令和元年5月31日、行政手続の原則オンライン化を内容とする「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第16号。以下「デジタル手続法」という。)が公布された。
本稿では、デジタル手続法の策定の背景を踏まえつつ、その概要について紹介する。
1.デジタル手続法の策定の背景
我が国は、深刻な少子高齢化の先頭に立っており、生産性の低下や地方存亡の危機にさらされている状況にある。こうした我が国が抱える社会的問題の解決と経済発展を両立した新たな社会の構築に向けていかに取り組んでいくか、課題先進国たる日本が高齢化の社会モデルをどのようにつくっていくかが重要となっている。
一方、近年のデジタル技術の進展は目覚ましく、世界では巨大IT企業が台頭し、我が国においても、現在、75%の世帯がスマートフォンを所有し、70%以上がSNSを利用するなど、我々のライフスタイルや企業のビジネスモデルは急速に変化している。