1.はじめに
Christian Basonは英国のPolicy Labや米国のLAB@OPM等の先駆け的存在であるデンマーク政府内のイノベーション・ラボ“MindLab”の元所長であり、現在はDanish Design Center CEOを務めている。公共セクターにおけるデザインやイノベーションに関する第一線の研究者でもある。
Basonは政治学で修士号を取った後にコンサルタントとして政策評価や組織管理に携わり、2007年から2014年にかけてMindLabの所長になる機会を掴む。Basonはデザインによる公共イノベーションについての様々な研究や論考を発表し、政策研究や行政研究の議論をリードしている気鋭の論客である。近年、コペンハーゲンビジネススクールのデザインインリーダーシップ博士号も取得した。本稿では、MindLabの歴史的経緯と教訓を取り上げた上で、公共セクターのイノベーションやガバナンスに対するデザインやデザイナーの役割に関するBasonの議論を紹介する。