諸外国政府におけるブロックチェーン活用の取組みが拡がりを見せつつある。ブロックチェーンの取組みを比較的早くから進めている国であるドバイでは、同国がスマートエコノミーにおけるグローバル・リーダーとなるとともに、起業の促進や国際競争力の向上を目的とする「スマートドバイ指令」の一環として、2016年にドバイブロックチェーン戦略を策定した。同戦略は大きく①政府の効率性、②産業振興、③国際的なリーダーシップの発揮を3つの柱とするものであり、2020年までにブロックチェーンを余すことなく活用する都市にするという目標を立てている。この戦略に基づき、ドバイ政府は、様々な組織でブロックチェーンを活用した業務・サービス改革を行うドバイ・フューチャー・アクセレータプログラムや、公文書管理のブロックチェーン化、事業登記の一元化といった取組みを実施している。
中国の先進的なブロックチェーン企業であるShellpayの創業者・CEOであるジェーン・チャン氏は、ドバイ・フューチャー・アクセレータプログラムに参画し、ドバイにおける入国管理システムの改善に携わる一方、ミャンマーにおいても経済特区でのブロックチェーン活用の取組みに参画している。ミャンマーでは、情報省に設置されたデジタルエコノミー発展委員会において、デジタルエコノミーを加速するためのマスタープランおよび短期(2 ~ 3年)、中期(3 ~ 5年)の行動プログラムを本年策定し、取組みを進めようとしている。本稿で紹介する経済特区におけるブロックチェーン技術の活用に向けた取組みもその一環である。
本稿では、チャン氏に、政府におけるブロックチェーン活用例としてドバイおよびミャンマーにおける取組みを中心に紹介していただくとともに、ブロックチェーンの活用を進めることで政府がどのような変容を遂げていくかについて、将来展望を解説していただく。
文/松岡 清志