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2018.02.09

2018年02月号トピックス ナッジ:公共分野における適用可能性および留意点

大阪大学大学院 国際公共政策研究科
准教授 室岡 健志

1.ナッジとは

「ナッジ」とは、2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラーと、ハーバード大学のキャス・サンスティーンの二人が、2008年に米国で出版した書籍において提唱された概念である。本来の英語の意味は「(肘などで)そっと小突く」ことを指すが、この書籍では「選択の自由を禁じることも、経済的なインセンティブを大きく変えることもなく、人々の行動を予測可能な形で変える」仕組みを提供することを指している。この言葉は、元々は同著者達が2003年の学術論文において「リバタリアン・パターナリズム」として提唱した政策形成に対する方針からの派生で使われる。リバタリアン・パターナリズムとは、選択の自由を維持するという意味においてリバタリアン(個人の自由を重視しているもの)であり、人々がより良い選択をするような方向へ人々の行動に影響を与えるという意味においてパターナリズム(他者のために強権的な介入を行うもの)であるという、著者達の造語である。ナッジという言葉は、このリバタリアン・パターナリズムという方針に基づいた政策を実際に行う際のキーとなる概念として産まれたと考えられる。

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