1.はじめに
現行のサイバーセキュリティ戦略(以下「現行戦
略」という)は2015年9月に閣議決定されたもの(戦略期間は3年間)であるが、当該戦略の決定以降、サイバーセキュリティを巡る状況は大きく変化している。例えば、IoT(Internet of Things)は指数的に普及しつつある。また、脅威の観点からは、2016年秋にIoTが攻撃拠点に利用されたといわれる1Tbpsを超える大規模なDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃のためにSNSのサービスなどに大きな支障が生じた事件や、2017年5月に150か国以上、数十万台以上のコンピュータが短時間でランサムウェアに感染した事件などは記憶に新しい。こうした事件は、サイバー空間を利活用した円滑な企業活動を阻害し、ビジネスなどの発展を阻害する。