1.データ利活用を取り巻く環境変化
ここ数年、我が国ではスマートフォンが急速に普及するなど、個人の情報収集・発信力が飛躍的に増大する環境が整ってきた。ネットワークインフラ面においては、2010年当時ですでに光ファイバの普及率が100%近くにまで達し、モバイル環境を下支えするインフラとして第4世代の無線サービスが普及しはじめ、その後急速な発展をみている。個人のみならず、企業等法人においても、これまでオンプレミスであった情報システムをクラウド化し、さらにIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった最新の技術を活用しデータの収集・処理を進めることで、B to CのみならずB to Bへとデータを活用したサービス展開が可能となってきた。しかしながら、環境整備が進む一方で、データ利活用が進んでいるとはいい難い状況が続いてきた。その主な理由としては、ITやデータを活用するという国民の意識向上に時間を要し、国民全体でデータ利活用を進めるというムーブメントが沸き起こっていない状況にあることであり、如何にこれを進めるのかが課題であった。今後は、大量のデータを生み出すであろうIoTがデータ流通の中心となることも想定され、これらデータをどのように使うかが日本の将来にとって重要となる。世界に伍してデータを利活用できる環境を整備し、超少子高齢社会を迎え様々な社会課題を抱える我が国において、データを基盤とする社会を見越した環境を先行して整備していくことが必要との趣旨から、平成28年12月、議員立法(自民党、公明党、民進党、日本維新の会の共同提案)により「官民データ活用推進基本法」(以下、「基本法」という。)が制定された。