1.はじめに
日本において、はじめて民主主義を制度化したのは、1889年に公布された大日本帝国憲法(明治憲法)である。明治憲法では、第35条において議員を有権者―それは一定以上の税金を納める25歳以上の男子という限定された有権者ではあったが― による選挙で選出することが謳われた。それから約60年後の1946年。日本は、現在の日本国憲法を制定し、民主主義を新たな形に作り替えた。そこでは選挙が「国民固有の権利」であるとされ、女性も含めて20歳以上の成人全てに選挙権が認められるようになった。憲法を改正する際にも「国民投票」が必要とされるようになり、日本は民主主義を実現したかのように見える。