1.「まち・ひと・しごと創生」におけるRESASの位置づけ
東京一極集中と地方の衰退という構造的課題に対し、歴代政権が行ってきた地域経済対策や少子化対策等の政策は、必ずしも構造的課題を根本的に解決するには至らなかった。このため、現政権の掲げる「まち・ひと・しごと創生」においては、地域の構造的な問題に対処し、地方自治体や地域の事業者、そして個人の自立につながるような政策を展開することを重視している(「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2015年12月27日閣議決定))。地域が自立するとは、地域が自ら考え、施策を実行・検証、そして改善していくという取り組みにほかならない。そのための支援の一環として、国は、2015年4月、各自治体が産業や人口、社会インフラ等の現状や将来の動向に関し必要なデータ分析を行い、各地域の強み・弱みなどの特性に即した地域課題等を踏まえた「地方版総合戦略」を策定し、それに基づく施策のPDCA サイクルを確立していくために、自治体に関する様々なデータを「見える化」する、「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」(以下「RESAS」)の提供を開始した。地域が自ら、データにより地域を分析し、施策のPDCAサイクルを確立していくことを実現するために、RESASがどのような役割を果たしうるか、RESASの機能の一つである「地域経済循環マップ」を例に見てみよう。