1.公共サービスイノベーション
昨年6月閣議決定された、「経済財政運営と改革の基本方針2015 ~経済再生なくして財政健全化なし~」(骨太方針2015)は、「経済再生なくして財政健全化なし」という基本哲学のもと、安倍内閣が取り組むべき今後の経済財政運営の方針を示しましたが、その柱となる「経済・財政再生計画」の中で、政府はもとより広く国民全体が参画する社会改革の一環として、公的サービスの産業化、インセンティブ改革と並ぶ新しい歳出・公共サービス改革のアプローチとして明記されたのが、公共サービスのイノベーションです。公共サービスイノベーションとは、公共サービスに対する需要・供給構造に関する情報や地域間等の差異に関する情報等の「見える化」、公共サービスに関する業務の簡素化・標準化、さらにそれぞれの自治体等が創意工夫によって進めている先進的な取組の普及・展開を促進し、自発的な、ボトムアップの改革を通じて無駄の排除と公共サービスの質の維持・向上を実現していくことを指します。地方自治体におけるIT化を通じた業務改革はその中心となるテーマの一つであり、後述の「公共サービスイノベーション・プラットフォーム」において精力的な議論が行われました。本稿では、このプラットフォームでの検討内容を中心にご紹介していきます。